日本児童文学学会 中部支部HP

Japan Society for Children's Literature

このホームページは、日本児童文学学会中部支部の活動を広く公開することを目的としています。
中部支部は、年一回発行の年報と、年三回の例会開催を主な活動内容としています。
例会は、会員の方以外でも自由に参加出来ます。
興味のある方は中部例会事務局までお問い合わせください。
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日本児童文学学会・日本イギリス児童文学会両中部支部例会 9月合同例会のご案内

日本児童文学学会・日本イギリス児童文学会両中部支部例会

9月合同例会のご案内

主催:日本児童文学学会中部支部・日本イギリス児童文学会中部支部

 

日本児童文学学会・日本イギリス児童文学会両中部支部の共催の合同例会を開催いたします。両支部よりお二人の研究発表の他、亜細亜大学の斉藤洋先生のご講演を予定しております。今回が最後の合同例会となりますので、皆様、お誘いあわせのうえ、多数ご参加いただきますようご案内申し上げます。なお、合同例会および懇親会につきまして、以下のフォームより出欠を取らせていただくことになりました。ご協力のほどよろしくお願い申しあげます。

 

合同例会および懇親会出欠フォーム  https://forms.gle/NWb6h35nLorm4rZY9

*2019年8月31日(土)までにお願いいたします。

 

日時:201997日(土) 12501715

場所:中京大学 名古屋キャンパス  0号館(センタービル)7階 0701教室

      (名古屋市昭和区八事本町1012

地下鉄「八事」5番出口を出てすぐの建物が0号館(センタービル)です。

 

タイムテーブル

1230〜       受付

1250〜       両学会代表者挨拶
13001340   研究発表1 渡辺 美樹

(名古屋大学、日本児童文学学会・日本イギリス児童文学会会員)

         「僧侶であることの意義―芥川龍之介の「鼻」を歴史的な視点から考える―」
13501430   研究発表2 口田 珠加 (日本イギリス児童文学会会員)
         「ロアルド・ダールの児童文学作品における女性像について

14401505   各支部会 事務連絡
15151715   講演会 斉藤 洋(亜細亜大学、児童文学作家)

「児童文学としてのアーサー王の世界」

1800〜         懇親会  鶏飯 八事バード Tel 052-835-7877

地下鉄八事駅1番出口を出て東へ(「八事」交差点方面)1分 

会費 ¥4,500(飲み放題コース料理)

 

研究発表1

僧侶であることの意義―芥川龍之介の「鼻」を歴史的な視点から考える―

渡辺 美樹(名古屋大学、日本児童文学学会・日本イギリス児童文学会会員)

「鼻」(1916年2月『新思潮』)の初出文末にだけ「禪智内供は、禪珍内供とも云われてゐる、出所は今昔(宇治拾遺にもある)である、しかしこの小説の中にある事實がそのまゝ出てゐるわけではない」(507)という記述がある。この物語は、作者芥川の勧めに従って、新たに日本語の仲間入りをした「自尊心」(1898年初出)や「利己主義」(1886年初出)という翻訳語を「テエマ」に見据えて登場人物の心理を探るという方向で考えられてきた。つまり歴史的な背景は単なる「借り物」であって主題と関係ないものと見なされてきた。しかしながら、典拠の説話集同様に物語られているのは、僧侶たちである。しかも作者は典拠の『今昔』や『宇治拾遺』で設定されていた平安初期ではなく、院政期を物語背景としている。語りの対象である「鼻」も典拠作品では「鼻瘤(びりゅう)」という病気として考えることができるものであったが、芥川作品では「奇形」として考えざるを得ないものへと変化している。このような改変が鼻の主人公禪智内供に影響を及ぼさなかったといえるであろうか。主人公が僧侶であることの意義を「鼻」に絡めて論じていきたい。

 

研究発表2

ロアルド・ダールの児童文学作品における女性像について

口田 珠加 (日本イギリス児童文学会会員)

Roald Dahlは、児童文学作品を多く生み出した小説家である。先行研究では、The Witches (1985) の冒頭で、悪役である魔女が女性であると定義したため、女性嫌悪であると批判の対象になった。しかし、Dahlの他の作品を見ると悪役は必ずしも女性とは限らない。女性で母性愛溢れた登場人物も存在する。Dahlの女性観は一体どのようなものであるのか。

 本発表では、The Witchesを中心に、Magic Finger (1962)、Danny the Champion of the World (1975)、Matilda (1988) 等を比較研究し、Dahlの女性観を探る。はじめに、Dahlの理想の女性像について分析を行う。Dahl作品の主人公は、親が死亡するか片親、暴力的、貧しい等、親には頼れない状況にある。親代わりの女性が主人公を助け、重要な役割を担っている。次に、Dahlの悪役の特徴について触れる。Dahlの作品には、暴力的かつ権力も経済力もある悪役が存在する。悪役になりうる人物像の条件を自叙伝Boy (1984) にも触れながら考えていく。さらに、Dahlの作品における権力とは何かについて考える。The Witchesの魔女とは異なり、Magic Finger、Matildaは、魔法という権力を持ちうる能力を持っている。彼女達は、自身の力をコントロールすることを自ら学ぶという点で興味深い。これらの考察を踏まえて、Dahlの描く女性観に迫りたい。

 

講 演

児童文学としてのアーサー王の世界

斉藤 洋(亜細亜大学、児童文学作家)

1952 年東京生まれ。1986 年『ルドルフとイッパイアッテナ』で講談社児童文学新人賞。1988 年『ルドルフともだちひとりだち』で野間児童文芸新人賞。1991 年「路傍の石」幼少年文学賞。2013年『ルドルフとスノーホワイト』で野間児童文芸賞。「白狐魔記」「ナツカのおばけ事件簿」シリーズ、『テーオバルトの騎士道入門』『ドローセルマイヤーの人形劇場』など、作品は 300 作以上。静山社よりシリーズ「アーサー王の世界」を刊行中。既刊に『大魔法師マーリンと王の誕生』『二本の剣とアーサーの即位』『ガリアの巨人とエクスカリバー』『湖の城と若きランスロット』。シリーズ第5巻『荷車の騎士ランスロット』近日刊行予定。

 

 

 

 

 

 

日本児童文学学会中部支部事務局からのお願い

*会計より*

2019年度の支部会費2,000円が未納の方は、納入をお願いいたします。9月例会に出席される方は受付で納入ください。ご欠席の方はお手数をおかけしますが、お早めに下記郵便局振込口座に、備え付けの用紙を使って振り込みをお願いいたします。休日でもATMが稼働しているときは振り込みができます。

 

口座番号:00550−4−52140     

口座名称:日本児童文学学会中部支部

(他行からの振込みの場合は、〇五九(ゼロゴキュウ)店 当座 0052140 です。)

 

 

 

日本児童文学学会中部支部

480-1197 愛知県長久手市片平二丁目9

愛知淑徳大学福祉貢献学部

青木文美研究室気付

電話:0561−62−4111(内線2458)

 

 

 

 

 

 

 

| 02.例会記録 | 13:22 | - | - |
日本児童文学学会 第93回中部例会 6月例会のご案内

日本児童文学学会 第93回中部例会

6月例会のご案内

 

 93回中部例会を、下記の通り開催いたします。

会員の皆さまお誘いあわせの上、多数ご参加いただきますようご案内申し上げます。

(当日一般参加者:資料代500円)

 

日時:2019629日(土) 13001600

*当日は12:30より受付を行います。

 

場所:愛知淑徳大学星が丘キャンパス 15C教室

愛知淑徳大学星が丘キャンパスへの行き方は下記の大学HPをご参照ください。

なお、当日は公共交通機関のご利用をお願いいたします。地下鉄東山線「星ヶ丘」駅3番出口 徒歩3

464-8671 名古屋市千種区桜が丘23 052-781-1151(代表) http://www.aasa.ac.jp/guidance/campus_guide/map.html

 

テーマ赤ちゃん絵本を考える−東京大学あかちゃんラボ刊行の《赤ちゃん絵本》を入り口にして

2017年7月に東京大学あかちゃんラボより、『もいもい』『うるしー』『モイモイとキーリー』(いずれも出版社はディスカヴァートゥエンティーワン)が刊行されました。これらの絵本は、刊行時はあまり話題になりませんでしたが、2018年はじめにテレビ番組で取り上げられると、《赤ちゃんが選んだ赤ちゃん絵本》というふれこみで、書店の一角にコーナーが設置されるほど話題を集めました。監修にあたった開一夫・東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系教授は、動機として「書店に並んでいる絵本の帯に「赤ちゃんが選んだ絵本」と書かれているのを見て、違和感を覚えた」と語り、専門とする発達認知神経科学の知見から制作したと述べています。また、「耳にしただけでは意味がわからないような言葉をあえて選んだとも語っています。

現在、子ども文化の研究は、心理学や情報学など他分野からさまざまな研究成果が発表されています。実験や証拠を基にした研究成果は、一見すると説得力があります。しかしながら、「耳にしただけでは意味がわからないような言葉」で構成された赤ちゃん絵本が、あたかも「赤ちゃんが選んだ赤ちゃん絵本」の決定版のように扱われていいのだろうか。児童文化や児童文学を専門とする立場から、この絵本を手がかりにして、もう一度児童文化、児童文学の存在意義について、皆さまと考えたいと思います。

 

タイムテーブル

13:00〜13:05 開会あいさつ  

13:05〜15:50  話題提供 松永(幾本)幸代(飯田女子短期大学)

 話題提供◆内ヶ有里子(岡崎女子大学)

 フリートーキング
15:50〜16:00 諸連絡・閉会

 

*報告時間及びフリートーキングの時間配分については、当日報告者の方々とご相談して決めていきたいと思います。

 

話題提供

赤ちゃんにとって絵本とは−赤ちゃん絵本の読み聞かせを通して−

松永(幾本)幸代(飯田女子短期大学)

書店で『もいもい』を見たとき、カバーに書かれたキャッチコピー「赤ちゃんの目をくぎづけにしたのはこの絵でした」がまず目に飛び込んできた。それは、「もいもい」という絵本のキャラクターよりもキャッチコピーの方が大きかったからだろう。疑念を抱きつつ、実験的に子育て支援施設で読み聞かせを行った。その様子を報告し、皆さんと「赤ちゃんにとっての絵本」を考えるきっかけとしたい。

 

話題提供

赤ちゃん絵本と昔話絵本―江戸時代の文献を手がかりに考える―

内ヶ有里子(岡崎女子大学)

 実は、江戸時代の文献に、乳児が母親に抱かれながら、絵本を読み見る図がある。乳児が絵本に親しむ文化は遅くとも江戸時代には既にあり、手のひらに収まる江戸期の小型の絵本類に乳幼児向きに作られたエッセンスを感じとることも可能である。現代の昔話絵本で、赤ちゃん絵本として出版されている作品は多くはないが、その特徴や意味を江戸時代の資料等を手がかりに考えてみたい。

 

日本児童文学学会中部支部事務局からのお願い

*例会担当より

例会参加のみなさまは、ぜひ以下の絵本、HPに目を通してからご参加ください。

『もいもい』『うるしー』『モイモイとキーリー』(いずれも出版社はディスカヴァートゥエンティーワン)

東京大学開一夫研究室 https://ardbeg.c.u-tokyo.ac.jp/ja/top/

ディスカヴァー×東京大学あかちゃんラボ http://www.d21.co.jp/feature/akachan-ehon

 

*会計より*

2019年度の支部会費2,000円が未納の方は、納入をお願いいたします。

6月例会に出席される方は受付で納入ください。ご欠席の方はお手数をおかけしますが、お早めに下記郵便局振込口座に、備え付けの用紙を使って振り込みをお願いいたします。休日でもATMが稼働しているときは振り込みができます。

今年度より振込口座が変更になりましたので、ご注意ください。

口座番号:00550−4−52140

口座名称:日本児童文学学会中部支部

(他行からの振込みの場合は、〇五九(ゼロゴキュウ)店 当座 0052140 です。)

 

日本児童文学学会中部支部

480-1197 愛知県長久手市片平二丁目9

愛知淑徳大学福祉貢献学部

青木文美研究室気付

電話:0561−62−4111(内線2458)

 

 

 

 

 

 

 

| 02.例会記録 | 22:00 | - | - |
日本児童文学学会 第92回中部例会 案内

日本児童文学学会 第92回中部例会

案 内

 

 92回中部例会を、下記の通り講演会として開催いたします。

会員の皆さまお誘いあわせの上、多数ご参加いただきますようご案内申し上げます。

(当日一般参加者:資料代500円)

 

日時:201939日(土) 14:15〜16:00

*当日は13:30より中部支部総会を行います。会員の方はご出席ください。

 

場所:愛知淑徳大学 星ヶ丘キャンパス 15C 教室

アクセス:地下鉄東山線「星ヶ丘」駅 3番出口 徒歩3

464-8671 名古屋市千種区桜が丘23 052-781-1151(代表)

 (大学HP「交通アクセス」https://www.aasa.ac.jp/guidance/campus_guide/map.html )

 

タイムテーブル

133014:00 年次総会(会員のみ)

14:00〜14:15 休憩  

14:15〜15:45  講演会 寺前君子氏 旧満洲における日本人の児童文学活動」

 質疑応答

15:45〜15:55 事務連絡

 

テーマ 「戦時下の児童文化・児童文学」第2弾

昨年の3月例会は、不穏な動きが感じられる昨今、アジア・太平洋戦争期の児童文化・ 児童文学について、改めて注目する必要があるのではないかという思いから、ラウンドテーブル「戦時下の児童文化・児童文学」を企画いたしました。

今回は、その第2弾として旧植民地である満洲(現中国東北部)に注目いたしました。当時の満洲では、日本人の児童文学者が、どのような活動を行っていたのでしょうか。残念ながら、今日まであまり知られてはおりません。

 そこで、このたび中国児童文学研究会会員・日中児童文学美術交流センター会員である寺前君子氏をお招きし、講演会を開催することにいたしました。

 

講演要旨 旧満洲における日本人の児童文学活動」

日本の満洲植民地化は日露戦争(1904−05)直後より始まる。満洲開発全般に携わった南満洲鉄道株式会社(以下「満鉄」・1907年営業開始)は、教育、文化面にも力を入れ、多くの文化人を招聘して日本文化の移植と文化環境の整備に努めた。巌谷小波は、1913(大正2)年と1926(大正15)年に,満鉄の招聘で訪満し、「お伽講演」を行っている。

満洲の邦字新聞「満洲日日新聞」(1907年創刊・一時期「満洲日報」と改称)に、子ども欄が設けられたのは1927(昭和2)年で、以後、在満日本人の子どもたちに、活字に親しみ、作品に触れる機会を与え、また、一方で書き手を育て、植民地満洲の児童文学の誕生・発展を促した。

満洲における日本人の児童文学活動は大きく二つのグループに分けられる。

一つは、石森延男を中心とし、大連で活動したグループである。石森は、1926年に、大連にあった南満洲教育会教科書編集部に赴任し、植民地満洲の教育と児童文化育成に深く関わった。石森は同人らと、在満日本の子ども向けに課外読み物を刊行した。同人の多くは、教科書編集部の同僚や教師たちである。筆者は石森延男を、満鉄の文化政策によって耕された文化的土壌に創作文学の種を撒き育てた人物として位置づけている。

もう一つは、寺田喜治郎を中心とし、奉天(現在の瀋陽)・撫順で活動したグループである。寺田は1924年(大正13)に渡満。満洲教育専門学校教授として、植民地満洲の教育を担う教員を養成する傍ら、読書指導、児童書の選定等、広く満洲の児童文化・教育に関わった。撫順中学の校長であった寺田を中心に集まった小学校教師たちの勉強会「撫順国語夜話会」を母体とするグループで、小学校の補充教材に役立てたいと雑誌「コドモ満洲」(1931年)を刊行し、創作活動も行った。

 

寺前君子氏のプロフィール

34年間の教員生活ののち、梅花女子大学大学院で児童文学を学び、2014年3月、「満洲児童文学研究」で博士号を取得。中国児童文学研究会・日中児童文学美術交流センター会員。

 

 

 

日本児童文学学会中部支部事務局からのお願い

 

 

 

 

日本児童文学学会中部支部

480-1197 愛知県長久手市片平二丁目9

愛知淑徳大学福祉貢献学部

青木文美研究室気付

電話:0561−62−4111(内線2458)

 

 

 

 

 

 

 

| 02.例会記録 | 13:36 | - | - |
日本児童文学学会・日本イギリス児童文学会両中部支部例会 9月合同例会のご案内

日本児童文学学会・日本イギリス児童文学会両中部支部例会

9月合同例会のご案内

主催:日本児童文学学会中部支部・日本イギリス児童文学会中部支部

 

今年度も日本児童文学学会・日本イギリス児童文学会両中部支部の共催の合同例会を開催いたします。両支部よりお二人の研究発表の他、「児童文学と言語教育」をテーマとしたラウンドテーブルをおこないます。皆様、お誘いあわせのうえ、多数ご参加いただきますようご案内申し上げます。

 

日時:201898日(土) 12501750

場所:愛知淑徳大学 長久手キャンパス 国際交流会館(アイハウス)1階ラウンジ

      (住所:愛知県長久手市片平二丁目9  TEL056162-4111(代表))   

交通アクセス、会場への案内は別紙をご覧ください。なお、駐車場もございますのでご利用ください。

 

タイムテーブル

1230〜       受付

1250〜       両学会代表者挨拶
13001340   研究発表1  青木 文美(愛知淑徳大学、日本児童文学学会会員)
         大学生と読物体験―講座「絵本論」を通して考える読物分析力の育成法」
13501430   研究発表2  新居 明子(名古屋外国語大学、日本イギリス児童文学会会員)

         自己理解と他者理解を育む絵本の世界―多文化共生社会の実現を目指して

14401505   事務連絡
15151715   ラウンドテーブル「児童文学と言語教育」
         難波博孝 (広島大学)

黒川麻実 (大阪樟蔭女子大学・日本児童文学学会会員)

上田リエ (名古屋市内中学校英語科教諭)

17201750  茶話会

 

研究発表1

「大学生と読物体験―講座「絵本論」を通して考える読物との関わり方、分析力の育成法」

青木 文美(愛知淑徳大学・日本児童文学学会会員)

言葉で構築された芸術である〈文学〉を専門としない学生に、〈文学〉との付き合い方や〈文学〉の必要性を語って10年になる。「言葉と文化ってつながってるって知らなかった。」「絵本って子供が言葉を覚えたり物の名前を覚えたりするのにあるんでしょって思ってた。」「『すてきな三にんぐみ』でもつらいけど、がんばって夏休みに絵本読みます。」ここ1年未満に受け取ったコメントの数々である。保育者養成課程の学生が素直で明るいおかげで、自明のこととしていた〈言葉と文化〉や〈文化と文学〉とのつながりが、決して自明のことではないと知り、(絵)本との関わり方や読み取った内容を語り合う楽しさを体験してもらい、「文学って悪くないでしょ」、「文学って社会を知る手がかりにもなるんだよ」という存在意義や必要性を伝えることに日々画策している。今回はその画策の内容と考察について発表する。

 

研究発表2

自己理解と他者理解を育む絵本の世界―多文化共生社会の実現を目指して

新居 明子(名古屋外国語大学・日本イギリス児童文学会会員)

現在の日本では、少子高齢化による日本人人口の減少とグローバル化の急速な進展に伴う外国人人口の増加を背景として、多民族・多文化が共生する社会づくりが今後取り組むべき大きな課題となっている。多文化共生社会の実現を目指すうえで必要となることは、大人だけでなく次代の日本社会をになう子どもたちの多文化理解を促進することである。そのためには、まずは子どもたちに自己理解を通じて他者を理解する道を示すことが重要だと思われる。

本発表では、社会共生のための自己理解・他者理解の入口として、幼児や小学校低学年児童にとって親しみのある絵本という媒体の活用を提案したい。そこで、まず共生社会実現に向けた取り組みや課題について触れた後、教育現場における絵本の活用例を紹介する。そして『はなのすきなうし』(1936)、『じぶんだけのいろ―いろいろさがしたカメレオンのはなし』(1975)や、『わたしとなかよし』(1990)、『きみのかわりはどこにもいない』(1999)、『ええやん そのままで』(2009)等の絵本を取り上げ、これらの作品の持つ魅力と可能性を考察する。

 

ラウンドテーブル

難波博孝 (広島大学)

現在進行中の日本の教育改革には文学の未来を大きく左右することがある。それは、高等学校教育課程の改革である。日本では、まがりなりにも高等学校3年生まで国語科で文学を扱うことになっていた。しかし、2022年から始まる新しい教育課程では、高2以後に「文学国語」という選択科目が設置されるが、ほとんどの高校はこの科目を選択しないと想定されている。そうなると高2以後は文学教材を使った授業は高等学校から姿を消す事になる。

 ほとんどの高等学校から文学教材が姿を消すことは、文学を享受するためのリソースを奪うことになり、文学を享受することが今以上にマニアックなものであるという認識を広めていくことになるだろう。日本にいる人々にとって共通の教養であろうと信じてきた古典作品がすでに共通教養でなくなったのと同じように、近現代文学もその道をたどっていくことが予想されるのである。

 こういった改革の背後にはどのような教育政策の意図があるのか、またそれを許した文学研究側や国語教育側にどのような問題があったのか考察した上で、「マイナーな教養」となっていくであろう文学と向き合うために、子どもと/の文学に関わる人々がどう動いていけばいいか示していきたい。 

 

黒川麻実 (大阪樟蔭女子大学・日本児童文学学会会員)

現在の小学校国語科教科書には、朝鮮半島の民話「三年とうげ」(光村図書・3年生)、「うさぎのさいばん」(三省堂・3年生)、モンゴルの民話「スーホの白い馬」(光村図書・2年生)、以上の次の三作品が東アジア民話として登場している。付属の指導書等において、これらの教材を通して、それぞれの地域の民族や文化を子ども達に理解させるよう示されている。しかし、これらの東アジア民話教材の歴史を辿ると、植民地教育や社会主義プロパガンダに利用され、時代状況に合わせた再話の繰り返しが行われていた。日本からの逆輸入の可能性がある「三年とうげ」では、朝鮮総督府編纂の読本教材として登場し、登場人物や内部に存在する教訓の改変がなされており、同様のことが「うさぎのさいばん」にも当てはまることが判明した。馬頭琴由来伝説を元にした「スーホ白い馬」は、当のモンゴル地域では全く別の馬頭琴由来伝説が継承されており、中国人作家による“作られた民話”であることが明らかになった。本発表では、三教材を重ね合わせた上で見えてくる“民話教材を巡る問題”を示し、これからの国語教育において民話教材をどのように扱っていけば良いのか、この問いに答えていきたい。

 

〜言葉を、文化を伝えるには何が必要か−学校の現状から考える〜

上田リエ (名古屋市内中学校英語科教諭)

 文化の継承が難しくなっていると感じているのは、子どもと日々関わり現場の厳しさにさらされている教師だけではないだろう。中学校教師(英語科)として日々感じる事は、「子どもに言葉が通じない」ことの恐ろしさである。昔ながらの一斉授業は成り立たない。子どもたちには、「一斉授業を受けるスキル」が無いのである。言葉やメッセージが伝わらなければ、物語も通じない。家庭で物語を味わう経験をしていない以上、子どもたちには、「物語の味わい方」のトレーニング•体験を学校で教師が行う必要がある。しかし教師は、疲弊している。このままでは、文学の伝達どころか、文化の継承の場として学校はうまく機能できない。指導要領改正を控え、さらに多忙、混乱、疲弊がのしかかる事が予想される今だからこそ、児童文学を伝える場として学校がよりよく機能する為に、現在、学校はどうなっているのかに興味を持っていただけないだろうか。そして現実を把握し、児童文学の受け手(学齢期までの子ども)と送り手(保護者や教師•文学研究者)を助け、元気にするために何ができるかお考えいただけないだろうか。

 考えていただく材料として、中学校の現場と、小学校の英語活動がいかにスタートを切っているかの様子をお伝えする。

 

日本児童文学学会中部支部事務局からのお願い

*会計より*

2018年度の支部会費2,000円が未納の方は、納入をお願いいたします。

9月例会に出席される方は受付で納入ください。ご欠席の方はお手数をおかけしますが、お早めに下記郵便局振込口座に、備え付けの用紙を使って振り込みをお願いいたします。休日でもATMが稼働しているときは振り込みができます。

 

口座番号:00550−4−52140

口座名称:日本児童文学学会中部支部

(他行からの振込みの場合は、〇五九(ゼロゴキュウ)店 当座 0052140 です。)

 

*『児童文学論叢』編集委員会より 原稿募集のお知らせ*

『児童文学論叢』第21号を2019年秋に発行する予定です。20193月末締切で原稿を募        

集します。投稿をご希望の方は本年12月23日(日)までに事務局(青木文美 /Eメールaofumi@asu.aasa.ac.jp)または編集委員(酒井晶代/Eメールmasaka@asu.aasa.ac.jp)までお申し出ください。よろしくお願いいたします。

 

 

日本児童文学学会中部支部

480-1197 愛知県長久手市片平二丁目9

愛知淑徳大学福祉貢献学部

青木文美研究室気付

電話:0561−62−4111(内線2458)

 

 

 

 

 

 

 

| 02.例会記録 | 21:27 | - | - |
日本児童文学学会 第90回中部例会案内

日本児童文学学会 第90回中部例会

案 内

 

 90回中部例会を下記の通り開催いたします。

会員の皆さまお誘いあわせの上、多数ご参加いただきますようご案内申し上げます。

(当日一般参加者:資料代500円)

日時:2018616日(土) 13301600

場所:愛知淑徳大学 星が丘キャンパス 1号館 15C 教室(名古屋市千種区桜が丘23)

愛知淑徳大学星が丘キャンパスへの行き方は下記の大学HPをご参照ください。

なお、当日は公共交通機関のご利用をお願いいたします。地下鉄東山線「星ヶ丘」駅3番出口 徒歩3

464-8671 名古屋市千種区桜が丘23 052-781-1151(代表) http://www.aasa.ac.jp/guidance/campus_guide/map.html

 

タイムテーブル

1300    受付

13:30          開会あいさつ

13:35〜14:15 主題研究 鈴木穂波氏(岡崎女子短期大学)

        「絵本における“生”の表現」

1415〜14:30 質疑応答

14:30〜14:40 休憩

14:40〜15:50 フリートーキング

        「絵本における“生”の表現―田島征三の作品からー」

15:50〜16:00 事務連絡・閉会

 

主題研究

絵本における“生”の表現

鈴木穂波(岡崎女子短期大学)

絵本には一定の方向へ向かうのではない、自在な動きやふくらみをもつ世界がある。一冊の絵本が、読み手の状況や読む形態などによって反応を起こし、その時々の“絵本”を生み出す。その絵本の作用の特徴が最も顕著に表れているものを、絵本における“生”の表現と捉えている。また、その特質は、やはり絵本そのものを捉えるだけでは見えてこない。それを探るためには、読み手との関係性の具体的な考察がおのずと必要となる。

絵本の表現は、読み手が関わることによってその核に在るものが引き付けられる。したがって、絵本はただ表現されたものとしてだけでなく、読み手が関わることで浮かび上がるものに着眼するべきである。それは、絵本を論じていくうえで、最も着目するべき視点でありながら、深く触れられてこなかった点ではないだろうか。

2011年の博士学位請求論文においては、絵本論の構築として途上ではあるが、読み手との関係性の中で絵本そのものに迫るということを拠り所とした絵本研究の可能性のひとつの形を示すことを試みた。またその後、博論で取り上げられなかった作家や作品の研究を通して、「絵本における“生”の表現」というものを具現化することに取り組んできた。本発表では、これまでの研究を振り返り、まとめることによって、今後の課題をさらに明らかにしていきたいと考えている。

 

フリートーキング

 後半のフリートーキングでは、鈴木氏の主題研究からヒントを得て「絵本における“生”の表現―田島征三の作品からー」をテーマに読書会を実施したいと考えております。絵本は、手を使って〈めくる〉喜びやファンタジーの世界に浸る充足感、無限に広がる空想世界で遊ぶ楽しみなど、子どもたちを没頭させる‟何かがあります。それは、語られている物語世界、あるいは、描かれた表現世界だけを個々に分析するだけでは十分に考察することができません。子どもたちを没頭させる‟何かが、絵本と読み手との相互作用によって構築される時、絵本の表現をいかように捉え、どのように解釈することが絵本を論じる上で必要となるのでしょうか。今回は、読み語られる中で自在に変容する〈絵本における“生”の表現〉について、田島征三『しばてん』『ガオ』を手がかりに考察を深めることといたします。あらかじめ田島征三『しばてん』『ガオ』をお読みいただき、ご参加いただきたく存じます。また、両書をお持ちの方は、当日ご持参いただけると幸甚です(こちらでも数冊ずつ準備いたします)。

 

日本児童文学学会中部支部事務局からのお願い

*会計より*

2018年度の支部会費2,000円の納入をお願いいたします。

ご欠席の方はお手数をおかけしますが、お振り込みをお願いいたします。休日でもATMが稼働しているときは振り込みができます。

昨年度より振込口座が変更になりましたので、ご注意ください。

口座番号:00550−4−52140

口座名称:日本児童文学学会中部支部

(他行からの振込みの場合は、〇五九(ゼロゴキュウ)店 当座 0052140 です。)

 

日本児童文学学会中部支部

480-1197 愛知県長久手市片平二丁目9

愛知淑徳大学福祉貢献学部

青木文美研究室気付

電話:0561−62−4111(内線2458)

 

 

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